灰色のまち

最近また読書欲がすごい。



そして、おもしろいことに、インドというキーワードで本が増えてゆく。


意識はしていなかった、それなのに、気づけばインドインドと書かれた本たちが並んでる。


どうしたというんだろう。インドに行きたいとは思っていないつもりなのだけど。


まず飛行機が苦手だから、できれば海外旅行はしたくない。


国内でも、できるだけ地に足がついた状態で運ばれたい。


できることなら、自分が運転するのがいちばん安全なのではないか、とすら思う。


厳密にはそうでないのは分かっているけど、自分の意識で操ることができる乗り物でないと


落ち着かないのは確かだ。そして自分は事故を起こすわけないという、根拠のない自信がある。


それが命取りだ、というのもよーく分かっている。だから、高速道路で120km/h以上は出さない。


そこらへんの一般道だって、どんなに急いでいても法定速度+10kmくらいしか出さない。


自分を信じられるからこその自信だと思うのだけど、いったいどうなんだろう。




とにかく、自分の意識で操ることができない乗り物、特に飛行機は大っ嫌いだ。

だから、この先わたしが自身の身体を、外国に置くということが、想像できない。


しようとしても、できないのだ。まったくもって、自分と外国が結び付かない。


行きたくないというわけではない、ただその手段が嫌なだけだ。そしてその『嫌だ』という気持ちは


『行きたい』という気持ちをはるかに凌駕しているみたいだ。



嫌だ、だけど行ってみたい。その無意識が、わたしにインドについて書かれた本を選ばせているのか？


そしてインドの次によく手にしてしまう本が、バリだ。そこが舞台である本を、またまた無意識に選んでいる。


どうやらわたしは、その両国に行ってみたいらしい。



行って何がしたいのかと問われたら、そんなもん行ってみなきゃ分かんねえよ、だ。


無意識にそれらの国について知りたいと思っている自分がいるらしい。


そんな漠然とした意識しかないのだから、何がしたいかなんて今はどうでもいいことだ。



わたしは暑いのが嫌いだ。　脱いでも脱いでも纏わりついてくる暑さが嫌いだ。


じっとりとした湿気も、容赦なく照りつける太陽も、何もかも暑いというのは不快だ。


だから、夏が嫌いだ。それなのに、わたしが無意識に知りたいと思っているのであろう国は、どちらも暑い。




本当に無意識に両国が舞台の本ばかりを選ぶので、それに気づいてからは敢えて違う本を買うように


心掛けているのに、目に飛び込んでくるのは『インドでわしも考えた』だとか『マリカのソファー』だとか


『オクターヴ』だとか…他にも、タイトルを覚えていないけど色々。



いったい、なんなんだろう。気になって、でも忘れて。それなのに、本屋に行って気になる本は


大体がインドかバリが舞台の本なのだ。不思議。



きっとわたしに何かを気づかせたいんだろう、何なのかは分からないけど。



それがわかるまで、無意識に選んだ本たちを大事に一文字ずつ、感じていこうと思う。





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