好きとか嫌いとか必要だとか

hys

2012年09月13日 16:49

友達にそれ以上の関係を望んでいることを、他の誰かのものになると自覚して初めて


気づく愚かな人間も、いる。




まあ、友人としてとても良い関係を築いているのだから、それをぶっ壊すようなことはしない。


ただどう接すればいいのかが分からない、その感情をうまく言葉に表すことができない。



どんな顔をして会えばいいのか、何を話せばいいのか。



素直になれと言われたら、意地を張ってしまいそうだから。


そのまま、好意に甘えて『祝福の笑み』って仮面かぶって、楽しく過ごせばいいんだと思う。


だいたい、友人に対してそういう独占欲のようなものを抱くのがおかしい。



好きになるのは自由だよ、なんてそんな慰めや憐みのこもった言葉は必要ない。


好きになるのは自由に決まってる、それは個人の自由だから。


ただ、気づいたのち、どうするかだけが問題なのであって、その気持ちや曖昧な感情について


把握しようとは思わない。それは、自分にとっても友人にとっても、明るい未来は想像できないから。


自分の感情だけに振り回されて、今まで築いてきた関係をぶっ壊すことこそ、いちばん恐れる事態だ。


それに、感情的になって振り回す時期はとっくに過ぎた。


だからそんな対応だけはしたくないし、するもんかと思う。




初めて会うあの子の相手に、わたしはどんな言葉を投げかけるんだろう。


どんな顔で『はじめまして』なんて言うんだろう。


できないことはない、やってやる。それに、会わせてくれるというんだから、会っといて損はない。


引っ越しの際の『お礼』について感謝の意を述べればいいのか。


腹ん中では『てめーにお礼をされる義理は『まだ』ない!』なんだけれども。




そのうち、わたしの方が蚊帳の外になる。



わたしはいくら仲が良くたって、家族にはなれないから。


どんなに彼女の家族に好かれたって、家族にはなれない。


それがあの男ときたら、わたしの欲しいものを簡単にさらってゆく。


男で、あの子に選ばれた人間だから。




正直、悔しい。



まあ、わたしが男だったとして、あの子がわたしを選ぶという可能性はないのかもしれない。


それでも少なくとも、あの男と同じ土俵に上がることはできたかもしれない、のに。


わたしが女であるがばっかりに、できることもたくさんある。友人っていうポジションで。


それは、ある感情を抑えての付き合いだけれど、それも板についてきた。



このまま、何事もなかったかのように、幸せな彼女を祝福すればいい。


子どもができた、生まれた、そういう時に一緒になって喜べばいい。


年を重ねて、関係性はどんどん変化するのかもしれないが、わたしだけは変わらずに必要とされたら


飛んでいく、バカなことで笑いあう、世の中を嘲笑しながら自らを笑い、いつまでもいつまでも


言葉を交わせば笑いあう、そんな関係でい続ければいい。




そうだ、それでいい、それがいいんだ。




我慢するのに苦痛が伴わないわけではない、それでもこれからの未来がぶっ壊れることがないように


それを我慢するのは容易なことだ。




こういう時にふと思う。



わたしは、なんで女として生まれてきたんだろう。


好きな女に好きとも言えず、友人というポジションにうまく収まることに甘んじて


指をくわえながら好きな女の結婚を祝福する。


そりゃ男でもそうだったかもしれない。ただ、男であったなら勝負することはできた。


仲の良い友人というポジションに収まったのは、わたしが女で、そうすることで自分の欲求を満たせたから。


友達なら、一生切れない縁を結ぶことができる。そんな打算で築いた友情って…と自己嫌悪に陥ることもある。


簡単には崩れない関係を、結んできたつもりだ。


だから、簡単に壊してはいけない。



そんなに深刻に悩んでいるわけじゃない。


ただ、いつものように平静を装えるか自信がないだけ。



大丈夫、わたしはいつもこうして乗り越えてきた。


だいじょうぶ、うまくやれないことはない。




もしかしたら、彼女は少し気づいているのかもしれない。


周りの人で、わたしが女性も恋愛対象になっているということを知っているのは彼女だけだ。


そして、わたしが訳の分からない行動や言動をするたびに、もしかしたらうっすらと気づいているのかもしれない。



分からないけど、そんな気もする。



だからって、わたしは絶対に言わないけど。


一生楽しい関係を続けるって決めたんだ、いまさら言うかよ。






まあ、でも。



たまに、ヘコむことだってある。


すぐ忘れる程度のことだけど、ちょっとだけヘコむときだってあるんだよ。


気づいてほしいなんて思わん、むしろ気づくな。



なんとも思ってないわけじゃなくて、だけど選択を迫るわけでもなくて、中途半端なわたしの決意。



ぜったいに祝福すっから、だいじょうぶ。



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